【SHAKEインタビュ-(3/3)】WEB3ゲームの経済システムの成功と失敗とは?

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編集部@Tsubasa

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第三回!【Web3キーマンを呼べ!】

この企画は、SHAKEがSHAKE内外のWEB3キーマンにトレンドやホットトピックについて聞き、発信するインタビュー企画です。

第三回でも引き続き、SHAKEの代表であるゲーム業界歴25年の椎野氏と、Web3コンサルからWEB3の知見を持つ原島氏に聞いていきます。

今回は「WEB3ゲームの経済システムの成功と失敗とは?」といった議題で意見をお伺いします。

過去のインタビューはコチラ
【SHAKEインタビュ-(1/3)】大手企業はWeb3でいつ「本気」を出すの?
【SHAKEインタビュ-(2/3)】ビットコイン高騰がWeb3ゲームへの投資意欲に影響するか

椎野氏と原島氏の紹介

椎野真光
セガで10年以上に渡りオンラインゲームをプロデュース、セガネットワークスでは戦略企画部⻑、編成局副部⻑などを歴任。Yahooゲームのパブリッシング責任者を経て、Yahooグループのモバイルゲーム事業会社であるGameBank株式会社で代表取締役に就任。その後、ネットマーブルジャパン社の新規事業開発室⻑として、国内におけるゲーム事業開発やアライアンス展開を管掌。キャリアを通じて国内外のゲーム開発、事業設計、経営、投資などの分野を横断する知見を有し、SHAKE ENTERTAINMENTの取締役に就任。

原島和音
様々な企業の経営サポートを行い、2016年にブロックチェーンに興味を持つ。2018年から本格的にブロックチェーン業界に進出し、おもにWeb3系のコンサルティング業務を中心に活動。SHAKEではビジネスディベロップメントを担当。

Web3ゲームの経済システムの成功と失敗とは?

ーいままで、さまざまなWeb3ゲームがリリースされてきましたが、Web3ゲームの成功と失敗とはなんなのでしょうか?今回もお話を聞いていきましょう。

原島氏のWEB3コンサル目線からの意見

ーまずは原島さん。Web3ゲームのトークンなど、経済システムでの成功と失敗に関してどういった考えをお持ちでしょうか。

 

原島氏
そもそもゲームに限らず、「エンタメで成功したトークンプロジェクトはあるのか?」と考えた時に、あまり思い浮かばないじゃないですか。例えばSTEPNって今は昔ほど稼げなくなっていますよね。ただ、「初期の相場の勢いを評価する指標が維持できていないから、STEPNは失敗だったのか」といえば、必ずしもそうではないですね。サービス提供側が計画的に短期で売上を作るという目標だった場合、STEPNはむしろ大成功プロジェクトだったとも言えます。

 

ーなるほど。目線を変えれば失敗ではないとも言えるんですね。

 

原島氏
はい。プロジェクトとしては有名になり、余裕資金を確保しているので安定して長期サービスを提供できる環境にあります。ですから最盛期ほど儲からないけど、定期的にイベントが提供され、STEPNファンはコミュニティを作りながら日々のウォーキングを楽しんでいます。それこそポイ活をしているより、相当儲かっているわけなんですよね。それを考えるとSTEPNが成功なのか失敗なのかは定義の仕方によると思うんですよね。

 

ー確かに「歩くこと」や「ポイ活」に視点を変えて見ると成功とも言えますよね。なるほど。

 

原島氏
Web3ゲームがなぜ一番最初にみんなが儲かるようにサービス設計しているかというと、ひとつのマーケティング施策だからなんです。通常のマーケティングでも最初に「ポイント5倍」とか「友達紹介キャンペーン」とか実施するじゃないですか。コストを掛けず、キャンペーンで報酬を提供することによって十分なマーケティング効果を得られるんです。2021年に大きく盛り上がったAxie Infinityでも、報酬を絡めたコミュニティへのマーケティングが成功要因のひとつに数えられています。

 

-Web3ゲームの初動の良さは一種のマーケティングになるんですね。それでユーザーが増えるということですね。

 

原島氏
現状は最盛期より稼げなくなりましたが、一定のユーザーが集まったので還元率を下げたという見方もできます。ですからAxie Infinityは定着したファンに向けて継続してイベントや大会もやっているし、これからも続いていくと思うんです。「Axieは人気が落ちた」と言う人もいますが、運営側からするとある程度想定した枠内に収まって健全に運営されている認識だと思います。その観点から、STEPNやAxieだけでなく、上手くいってるゲームは結構あると思うんですよね。投機目的のユーザーから見たとき、大きく原資回収できなければダメなプロジェクトだ!となりがちですが、原資を回収することだけが成功じゃないですからね。特にSTEPNは健康になってよかったパターンもあるし、生活に定着すればそれは既に成功プロジェクトと言ってよいと思います。

 

ー必ずしも原資回収ができなかったから、プロジェクトとして失敗ではなくて、プレイする目的で変わるということですね。

 

原島氏
もう一つ、例えばビットコインをマイニングゲームだと考えましょう。マイニングマシンをネットワークにつないで、穴を掘ったらビットコインが見つかるゲーム、みたいな。これをゲームとして見れば、エコシステムがきちんと回っているので成り立ってるんです。つまり成り立ってるゲームとは仕組みがあり、それにある一定期間でユーザーを集められたかどうかだと。ビットコインのように世界中の人を集めるトークンというのは、エコシステムが回ってて価値も上がり続けるので、広義のゲームと言ってもよいと思うんです。

 

ー成り立っているゲームと成り立っていないゲームの差はユーザーを集められるかどうかなんですね。なるほど。

 

原島氏
だから初期の集客やインセンティブ設計は大切です。序盤に人が集まらないプロジェクトは、プロジェクト自体をあきらめた状況になり、トークンが上がることはほとんどありません。ですが、序盤の盛り上げに成功して資金を得て、そのプロジェクトの潜在的な魅力と丁寧な運営があれば固定ファンが付くと。一定のラインを越えると、ビットコインみたいにトークンの価値が長期的に向上することもあると思います。

 

ー序盤の盛り上げと、プロジェクトに魅力があれば長く生き残るということですね。ありがとうございます!

 

椎野氏のコンテンツ目線からの意見

ーここからは椎野さんに引き続き、聞いていきたいと思います。

 

椎野氏
確かに、サービス提供側の視点で言うと一時的にでもトークン価格がぐっと上がって、しっかりと利益を大きく守って取れれば、その時の利益を使って緩やかにサービスを継続できるので、積極的に取らなくても済みますよね。STEPNとかAxieも最初からどれだけ意識してたかはあるけれど、結果として良かった気がするんだよね。

 

ーなるほど。確かに利益を大きく確保すれば無理な運営をする必要はないですよね。

 

椎野氏
ソーシャルゲームとか定額で遊べるゲームだと長期的に渡って、多くのユーザーに入ってもらわないと利益が出ないみたいな話もあるけど、瞬間的にユーザーがすごく儲かって、それに合わせてサービス提供側が稼げた、という状況はひとつの成功事例だと思います。ただ、長期で運営する視点がないと「単なる焼き畑コンテンツ」と言われてしまう場合もありますよね。

 

ープリセールやトークンの爆上がりで運営が儲かれば、ユーザーから見てサービス終了の危険性がない分、安心かもしれないですね。

 

椎野氏
例えば発行したトークンの時価総額が300億円、そこから10%分を運営が確保して30億取れれば運営費用としては十分です。あとはユーザーの意見を聞きながらコンテンツの質を高く維持すればよいと。守りに入ってると言われそうだけど、戦略上は間違っていないし、ひとつの型として見てもよいと思っています。

 

ーーなるほど。守りに入っていると見られるけれど、必ずしもそうではないと。

 

椎野氏
ユーザーはいつでも最高レベルの盛り上がりが継続していないと「このゲームはダメだ」みたいに決めつけがちですけどね。ただ、パズドラやモンストのように、盛り上がりが数年にわたって維持できるゲームが出てきた時に、Web3ゲームは新しい局面に入ると思います。少しでも早く、その時代を見てみたいですね。

 

ーまだまだBCGはそこの段階なんじゃないかということですね。ありがとうございます!

WEB3ゲームの経済システムの成功と失敗とは?|対談まとめ

第三回は椎野氏と原島氏に「WEB3ゲームの経済システムの成功と失敗とは?」というテーマに沿ってお話を聞きました。

また次回もお楽しみに!ありがとうございました!

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編集部@Tsubasa

2022年までメディアのライターとして4年間従事。子供のころからゲームに触れ、最近はRTAに鬼ハマり中。現在はさまざまなBCGをプレイして興味を持つ。大衆にBCGの概要や良さをゲーマー視点で伝えたいと思いjoin。GabeeTownでは編集者として記事執筆を主にしている。


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